『ポートランド視察(後編)』

今回の視察研修の目玉は「ストリート・オブ・ドリームズ2017」という、
ポートランドで毎年夏に開催される高級住宅の展示会です。

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地元のビルダーが超ハイスペックな住宅を建築し、分譲住宅として販売されます。
また、一般来場者や建築の専門家によるコンペも行われるというアメリカ屈指の
住宅イベントなのです。

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アメリカの住宅業界における最先端のトレンドを発信していることから、
約一カ月の開催期間中には一般消費者からプロの業界関係者まで、
5万人を超える来場者があるそうで、当日も会場は大変賑わっていました。

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ポートランド中心地から少し離れた自然豊かな閑静な住宅街に
5棟の住宅が建築されていました。建物面積は全て100坪超、
分譲価格(土地含む)は1億5千万円~という、いわゆる大豪邸です。

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まさにアメリカ映画に出てくる庭付き、プール付きのアメリカンドリームな家です。
その夢の住宅展に、初めて日本の企業が出展したのです。

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                  「SUTEKI」の外観

建築主は当社が大変お世話になっているナイス株式会社(Suteki America Corporation)
さんで、今後、アメリカの住宅市場で「SUTEKI」というブランドで事業展開される予定です。
是非、住宅版レクサスを目指して頑張っていただきたいと思います。

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                  「SUTEKI」の外観

設計は新国立競技場の設計をされた建築家の隈研吾氏。

隈さんと言えば著書「負ける建築」で有名ですが、負ける建築とは自己主張せず、
周囲の環境に溶け込む建築のことで、自然素材の「木材」を多用するデザインが特徴ですね。

新国立競技場にもたくさんの木材が使用される予定です。

隈さんは21世紀は木の時代、木が新しいトレンドになると提言されています。
木は柔らかく、人に優しい素材、人を引き寄せる力があると、様々なメディア等で
語られていますが、木材業の端くれの私も全く同感です。

このような権威ある方が木の良さを発信していただけるのは
私たち業界人にとっては大変有り難く、心強いものです。

「SUTEKI」の設計コンセプトは大きく2点。
「クロスカルチャー(異文化の融合)」 「サステナビリティー(持続可能性)」

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アメリカと日本の暮らし・文化を融合した空間構成、サステナビリティーな素材
である木材も、アメリカ産と日本産を融合させてのコーディネートになっています。

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       国産杉のドアとアクセントウォール

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       アラスカイエローシダーのルーバー

構造は鉄骨と木造のハイブリッド(混構造)で、メイン空間のLDKは鉄骨造
にすることで吹き抜け&大開口の空間となり、室内から外の自然を一体として
感じれる最高に居心地の良い空間となっています。

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                  「SUTEKIの内観」

内外をつなぐ深い軒下や縁側というのは、これまでのアメリカの住宅にはない
大和ごころの設計手法ですが、自然を大切にする価値観のポートランドの人には
間違いなく受け入れられる空間だと思います。

コンペでは予想通り、最高賞「ベスト・オブ・ショウ」を受賞されたそうです。

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今回のポートランド視察研修での一番の収穫は
「木」の素晴らしさと未来の可能性を実感できたことです。

これからは、社会も、企業も、人も、サステナビリティ(持続可能性)な
理念・生き方を追求していく時代ですし、そんな私たちのライフスタイルに
必要不可欠なのが、やはり「木」であると確信できました。

「木と人と未来をつなぎ、結ぶ。」

改めてその覚悟を定め、邁進して参ります。

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「ポートランド日本庭園文化会館」隈研吾氏設計