『あるべき耐震設計とは何か』

皆さん、こんにちは。

ここ数日で急にあたたかくなり、桜も開花したと思えば
あっという間に満開になりましたね。

さて、2016年4月14日の熊本地震から早くも2年が
経過しようとしています。

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住宅被害で約18万棟、人的被害が約2,500名という大惨事でした。

それは数百年に一度発生すると想定されている「震度7」が
立て続けに2度も発生するという大変ショッキングなものでした。

私たちウッドリンクは、これまで震災が起こるたびに、
耐震における知見を得てきました。

1995年の阪神淡路大震災では建築基準法で想定する
震度6を上回る、震度7の巨大地震が発生し、
木造在来工法の耐震性の低さが露呈しました。

2011年の東日本大震災では、本震の後、震度4以上の
強い余震が数年にわたり300回以上発生しました。

そして熊本地震では震度7の巨大地震が2回連続で発生しました。

これらの震災の度に私たちは、プレウォール工法の
同条件での性能検証を行ってきました。

そこで今回、熊本地震発生後に専門家による現場調査で判明した、
新たに得た知見をお話ししたいと思います。

最も被害の大きかった熊本県益城町で「耐震等級2」
(建築基準法の1.25倍の性能)の住宅が倒壊したのです。
そしてそこから数十メートル離れた場所で
一般的な性能の住宅が倒壊しないという現象が起きました。

なぜ地震に強い家が壊れ、普通の家が残ったのか。

それは地盤の固さの違いにありました。
地盤が固ければ建物は揺れにくく、柔らかいと揺れやすいのです。

つまり建物を建てる前に地盤の固さを調査し、
揺れやすい地盤であれば建物を強固にする必要があるのです。

おそらく倒壊した住宅は、一般的に耐震性能が高いと認識されている
耐震等級2でも足りなかったということなのです。

そこで今、業界で注目されているのが「微動探査」という新しい技術です。

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微動探査とは、地盤が体感できないほど僅かに振動している
動き(微動)を観測する地盤調査手法です。

現在の住宅の耐震設計は、地盤の揺れやすさや積雪荷重の有無といった
建築地固有の条件は設計上考慮しなくてもよいというルールになっています。

そんな規制の緩い住宅業界では、住宅メーカーが「地震に強い」
というキャッチフレーズをよく打ち出していますが、
それは極めて根拠のないスローガン的なものが少なくないのが現状です。

例えば、阪神淡路大震災クラスでも耐えられるのか。連続地震はどうなのか。
一棟一棟、それぞれの建築条件に合わせて検証する仕組みがあるのか。

本当に地震に強い建物を造るときには、地盤の固さ、積雪荷重、
壁の配置バランスといった固有の建築条件を全て考慮した検証、
シュミレーションが必要なのです。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造のビルなどは
当然そこまでの検証を行わないと建築許可が下りません。

私はこれからは住宅もビルと同様、
しっかりとした個別の耐震設計が必要になると考えています。

住宅を建てては壊す時代は終わりました。

また、災害というものはいつも想定外のことが起こるもの。
たとえ戸建て住宅であっても万全の備えをするべきだと思います。

今は人生100年時代と言われますが、
住宅の寿命も100年時代ではないでしょうか。

私たちウッドリンクは「あるべき耐震設計とは何か」を問い続け、
どんな地震にも負けない、安全で安心な家づくりを進めてまいります。
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