『木造住宅の倒壊シミュレーション』

新緑の葉が茂る、とても清々しい季節となりました。
私はこの時期が一年で一番好きです。

さて皆さん、自分の家が過去発生した地震で倒壊するか、
しないかをシミュレーション動画で確認できるのをご存知ですか?

私もすでに家を建てた身ですが、いまさら確認をして、
「熊本地震クラスで倒壊します・・・」という結果になったらと思うとゾッとします。
(近々、担当社員の手が空いたときに実施予定です。)

wallstat

これは「wallstat(ウォールスタット)」という木造住宅を対象とする
倒壊解析ソフトウェアで、国土交通省の研究機関である
国土技術政策総合研究所の中川貴文さんが開発された、
業界では画期的なツールなのです。

興味のある方は他にもユーチューブでシミュレーション動画が
いくつか公開されていますのでご覧いただければと思います。

ここで誰もが疑問に思うことが一つあります。
それはシミュレーションの信憑性はどの程度あるのか。

そこで私たちは2016年5月に実施したプレウォール工法の
三次元実大振動実験をウォールスタットを使って再現することにしました。

IMG_2733

その結果、概ね実大振動実験通りの結果となり、
シミュレーションの精度に間違いがないことを確認しました。

次に様々な条件下における検証を実施しました。

地震波(阪神大震災や熊本地震など)、積雪量(0~3メートル)、
壁の量とバランス(耐震等級1~3)、工法(プレウォール以外の工法)、
これらの条件を何通りもの組合せでシミュレーションを行いました。

検証の結果、悪条件が複合的に重なった場合、耐震等級2や3といった
一般的に強いと認識されている建物であっても倒壊するリスクがある
ということが分かったのです。

そのようなことから私たちは、
「建てる前に倒壊シミュレーションを実施すべき」
という結論に至り、現在は社内体制を整備しているところであります。

倒壊シミュレーションの必要性、メリットは大きく3つあると考えています。

1.過去発生した大地震に対し、具体的且つ根拠のある対策が打てる

例えば、シミュレーションの結果、倒壊してしまう建物に対し、
構造用合板をたった一枚張ることで、倒壊しない建物に変わることがあるのです。
ほんの少しの違いによって、命取りになってしまうのは本当に残念です。

2.地震発生後、構造の修復(メンテナンス)がピンポイントでできる

地震発生後は見えない壁の中で、どこが損傷しているかが
特定しづらいわけですが、発生した地震波でシミュレーションを
行うことで損傷個所が解り、ピンポイントで構造体の修復ができるのです。

3.安全・安心な暮らしと共に資産価値を守り続けることができる

良い住宅を建てるための最も重要なファクターは
家族が安全・安心に暮らせることだと思います。
そして、資産価値をゼロにすることなく住み続けられるということです。

世間一般的に、富山県は地震が起こらないというイメージが
あるようですが、それは全くの誤解です。

県内には砺波平野断層帯・呉羽山断層帯が危険度Sランク(最高ランク)
の主要活断層とされており、いつ大地震が起こってもおかしくないのです。

無題
「備えあれば憂いなし」

ウッドリンクは木構造のプロフェッショナルとして
常に最新の技術を研究し続けると共に、お客様の安全・安心を支える
ベストな耐震構造をご提案していきたいと思います。