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『ウッドショック~木材・建築業界のニューノーマル~』

皆さん、こんにちは。

先日、当社が運営する規格住宅VC事業の新ブランド「ETUSUS(エツサス)」の上棟がありました。上棟の翌日には断熱材施工、サッシ取り付け、防水工事までが完了し、これまでの在来工法の場合10日程かかっていた工事が大幅短縮を実現しました。今後の建築業界の課題である職人不足に対する一つの解決策として手ごたえを感じております。

さて、今年に入り木材・建築業界ではコロナショックに続き、「ウッドショック」という緊急事態が発生しています。世界的に木材の需給バランスが崩れ、木材価格が高騰し、国内における木材輸入量が大幅に減少する事態となっています。

原因は、欧米を始めとした国々で新築戸建て需要の増加とDIY需要の増加、それに加え、世界的な巣ごもり需要の増加によるコンテナ船の不足が主な要因です。

従って、木材供給の遅延が理由で予定していた住宅着工が先延ばしになったり、予算が高騰して見合わせになったりということが全国各地で起こっています。そのような現象は今始まったばかりで、木材不足は7月~9月辺りをピークに年内一杯は続くと言われています。

世界情勢ということで情報が日々変化しますし、憶測も含めた様々な情報が錯綜していますので、私たちも正確な情報収集に努め、お客様へスピーディかつ正しい情報を提供していきたいと考えております。

そのようなマーケット環境ですから今年度の住宅着工数はコロナショックによる失業者の増加に加え、木材不足と住宅価格の高騰の影響で大幅な減少が予想されます。

私はこの「ウッドショック」を機に、コロナのニューノーマル(新常態)と同様に、木材・建築業界のニューノーマル(新常態)が始まると考えています。

「ウッドショック」がもたらす業界変化を以下の3つの切り口から考察したいと思います。

① 木材業界のニューノーマル(木材業者の視点)

② 建築業界のニューノーマル(建築業者の視点)

③ 住宅に対する価値観のニューノーマル(消費者の視点)

先ず、木材業者の視点から見た考察は、第一印象としては「ようやく木材の価格が本来の適正価格に戻った」というのが正直なところです。つまり、これまでの木材価格が安すぎたということです。

適正価格という意味は、素材生産者(山主)に対してこれまでの価格以上で購入することで、林業従事者の賃金UPの予算を捻出できること、また、再造林(植林)の予算を捻出できるということです。

林業従事者の賃金と日本の平均賃金の差は年収ベースで100万円程度あるといわれています。この問題が解決されれば、なり手不足の解消につながります。

また、現在は伐採後に再造林(植林)する予算を捻出できないため、山の区画の全ての木を伐採する皆伐(かいばつ)ができず、間伐(かんばつ)で少しずつしか伐採できていない山が多くあります。そのために生産性が上がらず国産材の供給量がなかなか伸びないという結果になっています。

そのような、林業従事者のなり手不足の解消と、皆伐して再造林という流れができれば、持続可能な林業経営が実現し、国産材の供給量の増加並びに安定供給が可能になるという善の循環につながるのです。

そうなることで、これまでの外材需要から国産材需要へシフトしていき、国が目指す木材自給率50%の実現が可能となります。まさに国産材時代への回帰です。


    ※林野庁ホームページより引用

次に、建築業者の視点から見た考察としては、昨今、住宅の価格は高性能化に伴い年々上昇しており、更にウッドショックで拍車をかけることになります。

また、日本の住宅価格は欧米の住宅に比べ2倍近く高く、このまま何も対策を取らなければ住宅を購入できる人が益々減ってしまいます。

従って、私たちはなんとかして今後の住宅コストを下げる方法を考える必要があります。

住宅コストに占めるものはざっくり言って「材料費」と「人件費」の2つです。材料費を下げると性能や品質が下がりますので手を付けられない領域になります。そうなると残るは人件費になります。

人件費とは主に職人さんの施工費と住宅会社の営業費や設計費、現場管理費があります。職人さんの施工単価(=賃金)としては職人不足を考えると下げることは難しく、むしろ今後も上がる要素となりますが、施工に掛かる工数(時間)は「作業の省力化」によって減らすことができます。

また、住宅会社の営業費や設計費、施工管理費も社員の賃金そのものは下げることはできませんが、職人さん同様、営業や設計、施工管理に掛かる工数(時間)を合理化によって削減することは可能です。

何故、欧米の住宅価格が安いのかもうお分かりですね。住宅をつくるための人件費が少ない、つまり生産性の違いなのです。

生産性を高める方法は標準化、合理化、省力化、そしてIT化です。今後はそのようなことに本気で取り組み、日本の住宅も欧米並みを目指す必要があると考えています。つまり、家づくりは手間暇かけるのが当たり前という状態を変え、合理化が当たり前という状態にシフトしていかなければなりません。

次に、消費者の視点から見た考察としては、住宅価格が年々上昇している中、是非、目を向けてもらいたいのは、住んでから掛かる光熱費や保険料、メンテナンス費です。つまり、ランニングコストの少ない住宅を選ぶということです。

① 建物コスト2,000万円+生涯ランニングコスト1,000万円=生涯住宅コスト3,000万円

② 建物コスト2,200万円+生涯ランニングコスト500万円=生涯住宅コスト2,700万円

皆さんはどちらの住宅を選びますか?車を買うのに燃費を考えて選ぶのと同じですね。

ランニングコストが低いということは、ただ価格が安くなるだけではなく、断熱性能が高い分、日々の快適性も高まりストレスの軽減や健康にも良い影響を与えます。

これからの住宅購入の価値観の変化としては、目の前の建物価格だけではなく、建ててからの光熱費やメンテナンス費を考えて選ぶ時代になると思います。

以上が今後予想される木材・建築業界のニューノーマルです。(あくまでも私見です)

話しを冒頭の「ETUSUS(エツサス)」に戻しますが、エツサスは職人さんの省力化と住宅会社の管理コストの削減を徹底的に追求した、生産性の高い規格型の住宅です。

また、建ててから掛かる光熱費や保険料、メンテナンス費などのランニングコストを最小限になるよう設計されたハイスペックな住宅です。

標準仕様としてハイスペックな設計になっていますので、無条件で国土交通省の地域型住宅グリーン化事業の補助金が最大160万円もらえます。上手く活用できれば今回のウッドショックの値上がり分を十分カバーできると思います。

これから家づくりを始める方は是非、「ETUSUS(エツサス)」を検討してみてください。


↓ETUSUSのホームページ
https://etusus.or.jp/